林業種苗法施行規則の改正に伴う各通知の改正について(会員向け)

2021年07月06日

(会員向け)
 林業種苗法施行規則の改正に伴う各通知の改正が行われました。
 概要は、次のとおりです。なお、通知等の文書は会員向けページをご覧ください。

(以下、抜粋引用)
 <林業種苗法施行規則等の改正について>

 本年4月に施行された改正間伐等特措法に関連し、林業種苗法施行規則等が改正され、また、今般、関連通知を改正しましたので、内容・留意事項を連絡いたします。

1. 趣旨
 今般の間伐等特措法の改正では、特定母樹(エリートツリー等)に由来する苗木(特定苗木)の生産が本格化しつつあること等を踏まえ、植栽に適した特定植栽促進区域を指定し、この区域内で再造林を促進する仕組を新たに設けました。
 特定苗木による再造林を進めていくためには、特定苗木である旨の表示を行うとともに、生産が限られている「増殖した特定母樹から採取された種穂」や「特定苗木」について、都道府県をまたぐ広域での流通を進めていくことが重要となります。
 このような状況を踏まえ、今般、林業種苗の表示の明確化、種苗の需給の広域化等を内容とする改正を行ったものです。

2. 林業種苗の表示等

(1)林業種苗法施行規則
 改正間伐等特措法第2条第4項において「増殖した特定母樹から採取された種穂から育成された苗木」を「特定苗木」として定義したことに伴い、施行規則第21条第7号として「生産事業者表示票」又は「配布事業者表示票」の任意記載事項に、「増殖した特定母樹から採取された種穂であるかどうかの別又は特定苗木であるかどうかの別」を追加しました。
 また、これに併せ、以下の改正を行いました。
① 規則第21条第1号
 「種苗の銘柄」に「当該種苗の特性を示す用語」を含むことを明記しました。「特性」の内容としては、「無花粉」、「少花粉」、「病害虫抵抗性」等の記載を想定しています。
② 規則第21条第8号
 「ウェブサイトのアドレス(二次元コードその他のこれに変わるものを含む)」を新たに追加しました。「二次元コード」としては、QRコードを想定します。
③「生産事業者表示票」及び「配布事業者表示票」の様式
 これらの様式については、施行規則旧様式12号・旧様式13号により、7cm×11cmのサイズの荷札の様式が定められていましたが、これを廃止しました。これにより、例えば、苗木を段ボールで発送する場合に必要事項を段ボール箱に添付する、といった表示方法が可能となります。
④「種苗証明書」及び「身分証明書」の様式
 これらの様式については、施行規則旧様式14号及び旧様式15号に定められていましたが、施行規則旧様式12号及び旧様式13号の廃止に伴い、施行規則新様式12号及び新様式13号にそれぞれ繰り上げるとともに、各様式のサイズを削除しました。

(2)次官通知(「林業種苗法の施行について」)
 次官通知第6の3の(2)に、増殖した特定母樹から採取された種穂等の表示、ウェブサイトの表示を積極的に行うよう周知・指導をお願いする旨を記載しました。

(3)長官通知(「林業種苗法の運用について」)
 表示関係の改正はありません。

(4)生産流通要綱
 第13として、「種苗の表示」の適正な実施等について記載しました。

3. 種苗の需給の広域化

 種苗の需給については、これまで、都道府県内で種苗の需給が完結することを前提として各般の取組が行われてきました(過不足する場合にのみ限定的に他の都道府県と融通)。しかし、冒頭の趣旨に記したとおり特定苗木の広域流通が必要であること、その他の苗木の需給安定や増産にも都道府県の状況を踏まえつつ都道府県をまたぐ広域な流通が必要であることから、種苗の需給の広域化を念頭に通知等の改正を行いました。

(1)林業種苗法施行規則
 需給の広域化関係の改正はありません。

(2)次官通知(「林業種苗法の施行について」)
 第3の2の(1)のアにおいて、育種母樹等の指定にあたり、「自都道府県の種苗の所要量」のみならず、「隣接する都道府県間などの広域的な種苗の流通を念頭に置く」こと、「他の都道府県と連携して必要量を指定」することを新たに記載しました。
 第12の文中、「需給調整」については、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方(平成6年6月30日, 公正取引委員会)において、「生産・販売数量(中略)等について目安となる具体的な数字を示して指導すること」等は「独占禁止法との関係において問題を生じさせるおそれがある」とされていることを踏まえ、「需給情報の共有」としました。

(3)長官通知(「林業種苗法の運用について」)
 上記次官通知第12の「需給情報の共有」に関し、「隣接する都道府県等と共有を行うよう」新たに記載しました。

(4)生産流通要綱
① 情報の共有
 第5~第7において、需給情報の共有について明記しました。
② 広域的な流通
 都道府県の生産状況を踏まえつつ都道府県をまたぐ広域な流通を図る観点から、第6・第8において、他の都道府県との連携等について記載しました。
③ 予約生産等
ア. 生産者間
 第12の1において、「生産事業者間の幼苗の予約生産及び委託生産の推進」について記載しました。これは、種子選別機や自動播種機・環境制御室など播種・発芽に特化した施設の普及が進んできていること、これらの施設を各生産事業者が導入することは現実的ではないこと、むしろこれらの施設の稼働率を高めて品質の高い幼苗の生産を進めていくことが重要であること等の観点から記載したものです。

イ. 生産者と需要者
 第12の2において、「需要者及び生産事業者との間の苗木の予約生産及び委託生産の推進」について記載しました。この予約生産等は、需要者団体と生産者団体との間に限られるものではなく、需要者団体-生産事業者、需要者-生産事業者団体、需要者-生産事業者という形態も想定しており、事業者の判断により様々な形態での予約生産等が進むよう配慮願います。
なお、「団体間の一括授受」の規定は平成29年3月に廃止しています。多様な取引形態を排除することに繋がるとみなされるような取扱は、独占禁止法の違反となるおそれがありますので、所管の事業者に対し適宜御指導願います。
④ 造林補助金等との関係
 改正前の生産流通要項の13については、この規定があることにより、結果として生産や販売の制限に繋がっている可能性があることから、これを廃止しました。
⑤ 需給情報収集の調査票
 需給情報収集の調査票の様式については、これまで課長通知で別に定めていたところですが、今回、生産流通要綱に参考として添付する形に改めました。また、集計しやすいようセルの結合等を廃しています。
 なお、需給情報の調査にあたっては、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」において「数量等通常事業者の営業上の秘密とされている事項について業者団体を通じて報告を求めること」は「独占禁止法との関係において問題を生じさせるおそれがある」とされていることを踏まえ、個別の事業者に直接調査することを前提にした様式となっています。この点について御理解いただき準備をすすめるようにしてください。
⑥ 収入保険
 第14の2において、「生産事業者の収入保険への加入の推進」について記載しました。収入保険は、災害や得苗率の低下、需要の減少などによる生産事業者の収入減少のセーフティネットとなるものですので、生産事業者の経営安定に向け、加入の促進をお願いします。
 

4. その他
長官通知(「林業種苗法の運用について」)の第4の2において、生産事業者の登録申請書を団体等がとりまとめる旨を規定していましたが、団体に加盟しない(加盟できない)生産事業者も存在することから、この規定を廃止しました。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

03-3262-3071

  • 受付時間:月曜日から金曜日(祝祭日を除く) 10時~12時/13時~17時